籐(ラタン)について

基本的な使い方

※籐等は、水またはぬるま湯に浸して柔らかくなってからご使用ください。製作中も乾かないように霧吹き等で濡らしながらご使用ください。
また、自然素材の為、色・質等に個体差がございます。

※色染めの籐は、色落ちする場合がありますので、ご注意ください。
また、染色時の状況により、染まり具合が異なる場合があります。

籐の材料と加工

籐は東南アジア、インドネシア諸島などの熱帯から亜熱帯にかけてのジャングルに繁茂するヤシ科の植物で、その種類は200種類といわれています。
細いもので直径2mm程度のものから太いものでは直径60mm以上に及ぶものもあり、長さは100m以上に達します。
多くはつる状で長いトゲを持った表皮に包まれ、そのトゲを使って他の高い樹々にまつわりながら、太陽を求めて高く伸びあがるように成長します。
籐は木材などに比べれば成長は早く、遅いものでも14~15年で用材になります。

原料となる籐は1975年ごろまでは皮付きの状態で輸入されていたが、現在ではほとんどが機械で皮をはいだ状態で輸入される。
加工工場ではその原料籐を丸棒サンダーで研磨して後さらに真直ぐに矯正し、太さ長さを揃えて保管する。

<太民>

直径28mm以上の太さのもので、椅子などのフレームに使われる。

<中民>

直径20~28mmまでのもので、小物のフレームや2本3本と束ねて椅子のフレームとしても使用する。

<幼民>

直径20mm未満の太さのもので、籠などの小物のフレームや椅子の座、背などのパターンとしても使われる。

<丸藤>

セガ、ロンティの総称で、直径4~12mm程度のもの。籐敷物の他、皮付きのままで籠などのフレーム、スクリーン、椅子などのパターンとして利用する。

<皮籐>

丸籐を裂いて皮の部分だけを一定の幅と厚みに調整したもの。
椅子などの接合部を巻いて補強するのに使われ、装飾効果の他、幅、強度などが重要な要素となる。
幅5.4mmの「元禄」と呼ばれるものや皮の中央部を細くそぎ落して着色効果を高めた「背取り」と呼ばれるものがある。

<芯籐>

丸籐を裂き皮の部分を取り除き、断面の形状を円形、半円形、方形に挽いたひも状の材料で、それぞれ丸芯、半芯、平芯と呼ばれている。
芯籐は籠や大きな椅子を編み上げるのに使用するが、技術によって素晴らしい味わいを見せる。

籐の製作(東京都伝統工芸品指定 東京籐工芸から抜粋)

1.選別

この選別作業が製品の良し悪しを決定する大切な作業だが、長い経験と勘を要する。
太さ、色、硬さ、長さなど、製品の使用する個所によって選別していく。

2.ため直し

天然素材である籐には、ひずみ、うねり、ねじれなどのくせがある。
これを真直ぐに直す作業を「ため直し」という。ため直しは、熱を加えながら、ため棒という補正用の棒などで直していく。
この作業は直す個所や力加減によって微妙に左右されるので、永年の熟練と勘が要求される。

3.曲げ

材料を火熱や蒸気などの熱を利用して、製品の形に合わせて曲げる作業のこと。
籐の材質、性質によって力加減やもどり具合が違うので、これらを考慮しながら曲げていく必要がある。

4.巻き

「巻き」は籐の接続、補強の他、装飾のために行われる。巻き方には「素巻き」「筋入り巻き」「元禄巻き」などがある。いずれも高度の技術を要する。

5.編み

「編み」は椅子の座、背もたれ、籠の周辺などに施される。
編み方には皮籐や平芯などの扁平材による「四ツ目」「網代」「籠目」「市松」「花模様」などと、丸芯などの丸材による「ざる編み」「縄編み」などがある。また、編み上がった縁などの補強と装飾性を兼ねた「ふち留め」の技法として「内返」「外返留め」などがある。
籐の柔軟性と強靭性を最大限に生かしながら、しかもデザインに合った編み方が職人の腕の見せどころである。

6.穴つき(開け)

籐敷物製作で重要な作業のひとつ。仕上がり部分の表面が平らになるようにするため、籐の軟硬によって穴の位置を的確に判断しながら行なわなければならない。

7.糸通し

籐敷物は紐を通した針で、数本をまとめて縫い通す。わずかに盛り上がったのこの紐穴のラインは、籐敷物独特の美しさといえる。

8.かがり

籐敷物、籠などの編組の縁や組み合わせた部材の接合部などに補強、および装飾を施すための仕上げの技法である。
「矢羽かがり」「網代かがり」などがある。

9.挽き

丸籐から皮籐や芯籐を作りだす作業をいう。とくに皮籐では背取り、面取り、皮むき、厚挽きなど、特殊形状に挽き出す技術があり、きわめて高度な熟練が必要とされている。
この技術は日本独特の技法であり、高度に洗練された技術である。